山田悠介「モニタールーム」(角川グループパブリッシング) 2009.02.18 13:32

周囲を地雷原で囲まれた村で生活する老人と少年3人,少女1人の子どもたち。子どもたちは生まれて間もないころから,この村で老人と生活していた。
月給100万円で雇われた主人公の仕事は刑務所の地下のモニタールームで,子どもたちの生活を監視すること。モニタールームの傍らには村で暮らす少女の母親が収監されていて,母親も牢獄の中に設置されたモニターで少女の姿を見せられている。
こども達は閉鎖された村の中で暮らしているので両親の存在を知ることもないまま暮らしているが,母親は一方的に村の暮らしを見せられていて,娘の行動を心配するしかないのである。特に村はずれの地雷原の間近まで遊びに行ってしまうと,心配で心配で仕方がないのである。近未来の物語なので,地雷原で孤立した村の中の様子もこども達に知られることもなくモニターできるし,その世界の中では娘を名前も知らないような国まで連れて行って地雷原の中に隔離し,その様子を見せ続けるという刑も存在している。

 

 

母親の刑は15年で刑務所に入ってから15年経ち,あと2週間ほどで刑が終わりそうな頃,こども達が地雷原を抜けて日本へ帰るために村を脱出した。
母親は遠く離れた刑務所の中で地雷処理をしながら地雷原を抜けていく自分の娘の姿を見せられ続ける。15年近く刑ももうすぐ終わる頃にこのようなシーンを見せるのが母親が受けている刑の本来の目的だったのかも知れない。こども達は無事地雷原を抜けることができるのか。

最後まで一気に読めましたが,最後の最後の部分がよくわからなかった。
オチが今ひとつ理解できないので,最後の一歩前までの面白かった感じが薄れてしまった。布石を読み落としていたのかも知れない。
オチの部分を除いても十分面白い一冊です。

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